医療用ガウンでクラウドファンディングを始めるにあたり
この度CAMPFIREにおいてクラウドファンディングを立ち上げさせて頂くことになりました。
昨年(2020年)4月、折しも世間は第一波の真っ只中、医療資材と呼ばれるマスク、フェイスシールド、医療ガウン等が全く枯渇していたそんなとき、弊社所在地である兵庫県より
「鞄の裁断機を使って医療ガウンを作れないだろうか?」
と、1枚のアイソレーションガウン(医療用ガウン)を見せられました。
そこから、私たちの挑戦は始まりました。
昨年の春の大変の時期が過ぎ、夏になり、そして、海外からの安価の医療資材が入り始めました。
しかし、「うちは足りていない」「全くない」という声ともに、「是非クラウドファンディングを立ち上げてください」というご提案をいただいておりました。
◇はじめてアイソレーションガウンの不足を知ったとき◇
医療現場では朝出勤した看護師や研修医さんたちがゴミ袋切って簡易のガウンを作っているというお話を聞かされた時には愕然とした思いでした。
私たちの生活でも『マスクがない』『トイレットペーパーがない』と言われていた時期、日本の医療現場で物が足らなくなる、ましてや枯渇するなんて誰が考えたでしょうか?
「心無いデマで一時的に買い占めがおきただけで、直ぐに元通りになる」
多くの皆さんがそう思っていたのではないでしょうか?私たちもそう思っていました。確かにトイレットペーパーはそうでした。ほぼ国産で賄われており、一時的に需給バランスが崩れただけで、元通りに戻りました。
マスク、フェイスシールド、ガウン等の医療資材はどうだったでしょうか?
国内の生産は、ほぼ無いに等しい状態でした。
中国をはじめ海外に頼りきっていたのが実情です。
世界中がコロナウイルスと戦っているパンデミック禍において、通常ではありえない量が必要になり、尚且つ世界中が同じ状態に置かれている局面において日本に入荷してくる量は激減していました。
中国は医療資材を戦略物資と公言している以上、平時の必要な分だけ調達できていないのが現状です。
価格についても需要と供給で価格が乱高下するという日本ではあまり理解できない状況でした。これは現在においても同じです。
◇私たちは医療ガウン作りに挑戦することになりました◇
同じ豊岡市にあるフミオ工業(株)さんに量産をお願いすると共に、素材であるポリエチレンフィルムを探し始めました。
同じく豊岡市にあるタニーパック(株)さんにたどり着き、生地の生産を引き受けていただける事になりました。
医療現場が暑いというお話をお聞きして、暑さの原因となる「まとわりつき」を防止する生地の開発と並行してガウンの型出しなど『この国難に何とかしなければならない!』関わっている皆がその思いのみで立ち向かいました。
緊急事態宣言下の2020年5月下旬、毎日出来上がったガウンを出荷しながら、神戸赤十字病院のガウンの在庫が枯渇しているので入れてほしいとの依頼を受け納めさせていただくことになりました。そして近畿圏の日赤病院をはじめ病院や介護施設等に納入させていただきました。
夏が過ぎ世の中は平時に戻ったようにみえていました。大きな病院には、中国をはじめ、海外からの安価な医療資材も入りはじめ、穏やかに見えていました。
我々の役目は終わったのだろうか?
そう考え溜息をつく日々が過ぎて行きました。
しかし、「必ず次の波はくる」それに対しての備えができているのだろうか?という疑問の中お話を聞いていると、やはり小規模の病院や介護施設等には相変わらず潤沢にはないということ。大規模病院においても必要だとわかっているが、備蓄場所の問題や財政的な問題で潤沢には持ち合わせていないというお話を聞かせていただいておりました。
当初より弊社の取り組みを取材していただいていた、神戸新聞社さんが弊社の窮状を知り、一連の出来事を記事にしていただきました。
これをきっかけに毎日放送さん、関西テレビさん、NHKさん、TBSさんをはじめ沢山のメディアの方に取り上げていただきました。
折しも世の中は第三波といわれていた時期、反響は大きく
「うちは足りていない」「全くない」「安定供給の国産品を探してた」などのお声が自治体、大学、病院、歯科、眼科、介護・養護施設などより沢山頂くようになりました。
それと共に、
「お世話になっている病院、施設、に送ってあげてほしい」
「困っている病院に送ってあげてください」
という温かい声も沢山寄せられました。
そして
「是非クラウドファンディングを立ち上げてください」
とのお声も同時に届くようになりました。
「我々もまだ頑張らなければいけない」
「お届けできていない所へお届けしないと」 そんな気持ちでした。
クラウドファンディングに向けた準備をはじめ、CAMPFIREさんとの出会いもあり、今日にこぎ着けました。
ガウンでお世話になっております、日本赤十字社さんも受け入れの調整をしていただき、アドバイスをいただいたり、本当によくしていただきました。
『ここからが本番』
「してあげたい」と思う気持ちだけではガウンは届けられない。
皆さんの優しさを少しずつでいいのいで、形に変えてお届けさせていただくことで、この瞬間にも最前線で頑張っていただいている医療、介護関係者さまや、それを周りで支えていただいている全ての方々へ、優しさと安心をお届けできたなら、きっと新しい時代が開けてくるのだと。